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その昔、かまぼこと呼んだのは今の竹輪のこと。平安時代のお料理法を記した文献によると、すりつぶした魚肉を竹の管に塗り、それを焼いた形が蒲(がま)の穂に似ているので「蒲鉾」の名が生まれたとのことです。蒲は現在では活け花の素材などに使われますが、ほぐすと綿のようになるあの穂の形は、たしかに鉾(ほこ・両刃の剣に長い柄をつけた槍のような武器)に似ていますね。
板付かまぼこが生まれたのは、桃山時代ごろ。その頃は焼くだけでしたが、江戸時代の末に蒸す方法も考え出されました。やがて、かまぼこといえば板付かまぼこを指すようになります。古くからの本来のかまぼこの方は、切り口が竹の輪に似ているので「竹輪」と呼ぶようになったのです。いっぽう、板付かまぼこも、切り口が竹輪を半分に割ったような形であったため、半片(はんぺん)と呼ばれた時代もありました。